2012年11月9日金曜日

新しい市場の作り方

「ユーザは、製品を見るまでは、それを必要か必要でないかを知らない」

物理学でいう「コペンハーゲン解釈」は、量子力学の状態は、いくつかの異なる状態の重ねあわせで表現される。このことを、どちらの状態であるとも言及できないと解釈し、観測すると観測値に対応する状態に変化する(波束の収束)と解釈する。


人間の欲望も、いくつかの異なる状態を持っており、実際の物が提示されるまでは、それを必要としたかどうか判断がつかないのだ。

ユーザを観察して、ユーザが困っている部分を発見してその問題を解決するサービスを作るというのは明らかに誤った考えである。

ユーザは、必要とするものを知らない。したがってユーザからの情報で欲求を満たすものはできない。

組織やシステムのあり方もしかり。組織やシステムの変化そのものが、ユーザの心理・欲求に与える影響は知ることができない。ましてや他の組織やシステムが与えるユーザへの影響など、確実に知りうることはできない。

新しいサービス、新しい市場というものは、えてして、事業者がこういう世界になったらいいなという妄想から始まり、その妄想世界が素晴らしいんだと啓蒙して、現実にしてしまうというプロセスが必要となる。

新たな付加価値の高いマーケットを生み出すのに必要なのは、人の行動を左右する「新たな価値」「新しい生活スタイル」の発見であり、提案であり、啓蒙であり、刷り込みに必要な物語なのだ。




(本ブログは自身の意見であり、本の内容とは異なります。たぶん)

2012年8月17日金曜日

政策運営に係る嘘と本当

・消費税増税の影響は限定的である。
 => 消費税増税は当初年度は影響が限定的であるものの、3年後等に影響が累積し景気に大きなインパクトを与える。5年も立てば4〜5%の影響を与える。緊縮財政により増税をするものの税収は下がる。

・社会保障費の自然増に対しては増税が必要である。
 => 名目GDPが増えると税収は増える。増税ではなく経済成長により取り組まなくてはならない。

・積極財政では経済は成長しない。
 => 積極財政をすると金利上昇・円高を招き、民業圧迫等から成長効果を相殺し成長しないとの話があるが、国債を発行しても金利は上がらない。過去の事例からも緊縮財政が税収減をまねき、積極財政により成長をしている。

デフレのときには消費税増税、公務員給与削減などは論外であり、積極財政が必要である。リーマンショックを経験した米国では積極財政の議論がなされている。

今日の世界に生きよ。

今日の世界に生きるには、今置かれた、あるいは今既にある未来から事業を構築するとともに、古い事業は捨て去るための積極的な事業もまた必要となる。そうしなければ、事業の継続を脅かす競合社を生むだけである。

utsumi00_sansu
猪瀬直樹氏( @inosenaoki )は最後にこう仰った。なぜ?どうして?と好奇心を持つことに年齢制限はない。昨日の世界に生きるで無く、新製品開発という今日の世界に生きること。エビデンス・ファクトを精査し、課題発見し、新製品プロジェクトを作ること。そんなビジョンが日本を変える。
2012/08/17 1:51

2012年8月16日木曜日

観光事業へのGoogleの進出

観光事業は複合的であり、1社独占による観光事業を通じた収益はその売上げを含め有望な分野である。

米グーグルは旅行ガイド本部門を買収し、広告につぐ第二の収益の柱として、その手数料収益の獲得を狙う。

n_yana
米グーグル、米出版大手のジョン・ワイリー・アンド・サンズから傘下の旅行ガイド本部門を買収。買収額は非公開だがNYTは約16億円と報じている。旅行ガイド本の有力ブランド「フロマーズ」の運営をグーグルが引き継ぐ。11年にはグルメガイド本の米ザガット・サーベイを買収。日経産業8.15
2012/08/15 8:06

ネットとリアルの融合

ネットワークコンテンツの弱点は、六次の隔たりで浸透するはずの内容が、実は必要な人に向けたものとはなっておらず、単純な刺激による伝達にとどまる面があるところにある。

本来は、必要性と重要度のネットワークにより浸透させるところだが、まだそのようなネットワークは作られていない。

そのため、単純な拡散という従来メディアの手法もまだ有効な面がある。また地理的なサポートもまだ十分ではない。そのためネットワークでの情報伝達に従来メディアを加え、融合した情報伝達もも出てくることとなる。

n_yana
マイクロアド、都内の大型ビジョンにネット広告のバナーを映す実験。パス・コミュニケーションズと提携しマイクロアドのネット広告配信システムをビジョンに接続しネット向けに出稿したバナーを投影。7日に渋谷、9日に原宿と有楽町で実施。事業化に向け公共施設への提供も検討。日経産業8.16
2012/08/16 7:32

COBOLとメインフレームの終焉

イノベーションが予想される分野へは自らが積極的に関与し、実施しなければ、他にそれを奪われるのみ。
n_yana
富士通、COBOLなど古いプログラム言語で書かれた情報システムの設計書をJavaなど新しい言語を使った設計書にする「設計書化モダナイゼーション」サービス。メーンフレームで構成した基幹システムを調べて新しい設計書を作る。個別見積、15年度末迄に50社230億円。日経産業8.16
2012/08/16 7:33

AR技術の産業への応用

今後は、複数の業者で行われる道路の地下配管もデータベース化され、AR技術により工事が容易となることが期待される。しかしもはや国家にはそれを作るための財源はなく、法制化により登録/利用が促進される。
htamus
館内のLAN配線やラック間ケーブルの見える化とかにも使えそう。 RT @n_yana 続き。ARは商品販促など広告分野で実用化が先行していたが、ゲームや観光、教育ななど広い分野での導入事例が増えている。大林組では工事完了後でもビル内部の配管構造をタブレットの画面にARで表示。
2012/08/16 9:06
n_yana
本日の日経産業新聞。トヨタケーラム、AR技術を使った生産改善システムを開発。生産設備に付けたQRコードにスマホをかざすとそれぞれの設備に対応した取り扱い方法や整備手順などが画面上に表示される。従業員の作業レベルなどを一定水準に保ちやすくなるなため生産効率の向上につながるという。
2012/08/16 7:27

ゲーム基盤のモバイル/ソーシャル化と広報


ゲームはこれまでゲーム機で利用するのが通例であったが、ゲームはソーシャル化することにより、よりリアリティを増し、利用されることになる。また、通常の生活の時間でゲームをすることは、生活の厳しさから困難となっており、移動時間中にゲームをするモバイルプラットホームでの利用が増えることとなる。

また、ゲーム業界からすれば、新作を出し続けずに利用課金が可能なモバイルプラットホームは、新作を出し続けなくては安定的経営が困難となる状況を打開するためにも、重要性が増している。

ゲームソフト各社は、安定的基盤をソーシャルゲームに求めている。
http://gamebiz.jp/?p=72058

今後とも、モバイルプラットホームでのソーシャル化への投資は進むとともに、他の商品の販売促進のためのゲーミフィケーションと合わせ、新たな次元に入って行くだろう。

もちろん、ゲームに限らず、ユーザの獲得を進める企業は、ポイント制度を含め、オンラインでのソーシャルゲーミング要素を取り入れることが有効であり、活動として不可欠となる。

今後広報の世界では、ソーシャルゲーミング、ネットワークを通じたユーザとの対話の要素をもったプラットホームを持つ企業がユーザを集め、それら基盤を提供する企業がこの分野にロックインすることとなる。またこれら基盤活用のノウハウを持つ企業・組織・個人が求められることとなる。

Facebookの広告等の有効性が疑問視される場合もあるが、それは広告そのものにソーシャルゲーミング要素がなく、広告設計が旧態依然としたままであったためであろう。

2012年8月14日火曜日

不動産業界も深刻な在庫過剰に陥る

すでに所有するリスクをしっかりと認識している消費者。

その認識とはうらはらに大量のマンション供給がつづき、現時点でもかなりの供給過剰がつづいている。

消費税増税法案の可決により、若干の駆け込み需要はあるものの、その後の需要減はさらに多くの在庫を生じさせる。

http://biz-journal.jp/2012/08/post_531.html

食品メーカも危機に陥る

消費税増税法案が可決した。

消費税が増税となると何が変化するのか。

当然のように物の値段があがると思うのは大きな間違いである。購買力に変化がないことから、消費者はこれまで以上に価格に敏感となり、商品を選別していくことになる。

メーカ及び流通は、これまでと同様な売上げを得るには消費税分を値下げしていく必要がある。値下げ努力のない企業は市場から撤退することになるだろう。

増税分5%を超える効率的なオペレーションを行う企業が生き残る。

セブン&アイでは、プライベートブランドの比率は現在8.5%。一方で消費税率の高い欧米のプライベートブランド比率は40%を占める。すなわち食品メーカは、コンビニやスーパのプライベートブランドのシェア向上の一方で、その売上げを30%近く失うということになる。

そのうちにメジャーな食品メーカの危機がマスコミで取り上げられることになるだろう。

http://agora-web.jp/archives/1479737.html


一方で国家財政は、この増税によっても均衡に向かわないことは明らかである。

国家財政の赤字は約1000兆円、一方、国の歳出は100兆円で税収は40兆円、その他収入20兆円で、毎年40兆円を借金でまかなっている。利子5兆円と返済5兆円をしているものの、毎年35兆円もの借金が増えていることとなる。これを均衡させるために消費税増税5%分15兆円をあてたとしても、まだ20兆円の赤字は増え続けるのだ。しかも政府は今回の増税を返済に当てようとはせず、民主党のマニュフェストの継続にあてるという。まったく財政の均衡のための増税ではないということだ。政府はみずからの役割を見直さなくてはならないのだ。少なくとも経済の立て直しなどは政府ができるものではないことは証明されている。今回の増税が均衡に向けたものとのトーンが支配しているが、そのようなことは一切ない。そのためには国のあり方そのものの見直しが必要となっている。

今回の選挙の争点は、消費税でもなく、その使い道でもなく、国のあり方の見直しでなくてはならない。

2012年8月8日水曜日

長時間労働をやめる ~ Tedより ~

- Tedより書き起こし -
みなさん、日本社会は今極めて少子化が進んでいるのはご存じのことかと思います。

でも、何故日本は少子化なのでしょう。

なぜ、日本の女性は子供を生みたくないのでしょうか。私は身をもって体験していなるので知っています。

私は長男を生んだ6年前、くるしくて苦しくてしょうがありませんでした。両親は遠方でくらし、当初夫の帰宅時間は毎夜2時でした。

子供はベッドに置いたらなく、置いたらなく、やっと泣きやんだら、「バタン」と音を立てて夫が帰ってきます。

「もう2度と帰ってこないでいいんだよ」当時そんな話しをしていました。


この一人目の出産体験で、もう2人目は絶対にほしくないと強く思いました。この夫の長時間労働こそが少子化の真の原因だと思っています。

でも、今の夫は家事も手伝うようになり、気持ちはがらっと変わり今お腹に2人目がおります。


今日本は、少子化だけでなく、うつ病の問題、ダイバーシティ、大介護の問題、財政難と、問題山積の国です。

しかし、これらの問題に対して実は財政を全く使わずに解決する方法があります。

それが、長時間労働を止める、ということです。

今まで900社の働き方のコンサルをしてきましたが、30%の残業が減っても、売上があがる企業すらあります。落ちません。

それは、今の日本の企業が、時間をかければかけるほど成果が落ちて行くという、負のスパイラルにすでにはまり込んでいるからなのです。

60時間以上残業する人、日本は世界で最も多いです。

しかし、一人当たりが生み出している付加価値額、なんと先進国で最下位。

これは、私生活が少なければ少ない程、体験によるインプットが減り、アイディアもないのに、それを持ち寄って会議をする、それをひっくり返しても何も出てこない。だから会議は長引き、貧困なアイディアが出て売れない。帰れない。ぐるぐると繰り返しているのです。

さらに介護の問題が襲い掛かります。

あと5年で日本の団塊の世代は一斉に70代に入ります。

そうして介護を受ける人数が増えれば、介護をする世代、段階ジュニア世代は、介護と仕事の両立をする、時間制約のある社員が急増します。

ある6万8千人いる自動車メーカでは、5年度に抱える親の介護をする人数が1万4千人と見込んでいます。社員の5分の1です。

これだけのことを解決していきたい、じゃ長時間労働やめたほうがいいじゃないか、でも業績が落ちてしまうじゃないか、競争力を失うんじゃyないか、という不安があります。

でも、むしろ逆なのです。

長時間労働を続けたA社と長時間労働をやめたB社

A社の場合、コストをカットしようとすると人を削ってしまいます。固定費を削るのです。しかしその分の仕事が残された人の上に乗っかり、以前より長時間労働になります。そうすると削ったコストより、増えた残業代の方が多くなります。そして優秀な人は逃げて行ってしまう、うつ病は増える。週龍力もなくなり、コストが逆に増えてしまいます。さらにここに介護がふってくると、人がやめてしまいます。すでにカットしていますから、たがいにフォローする人材がいません。で、人が足りないので採用しようとしても、こんな企業に入る人は出てこず、優秀な人は入ってきません。そして事業継続がどんどんとあやしくなってくるのです。

B社の場合、コストを下げるのに残業を減らします。その分、若者を雇用し、時間制約のある女性などを積極的に採用します。私の会社は6年間ずっと残業禁止でやってきましたが、トップコンサルタントは短時間勤務の女性なんです。

時間と成果は関係ないんです。時間に制約のある人は短時間に集中力高く働いてくれます。また集中力が高いだけでなく、男女・年齢など多様性の増えた人材のいる会社では、多様なアイディアがお互いに切磋琢磨して、非常に高い付加価値を生んでいきます。さらに介護で人が抜けてもフォローする人材もいますし、育児や介護の問題を抱えてもやめないで済むわけです。

こういう企業にはますます優秀な人が集まって、業績はアップし、サスティナブルな企業になっていく、ということが言えるわけです。

「でも、育児も介護もしていないという」方、その方にも関係があります。

この長時間労働を続けるか否かは、日本の財政にも大きな影響を与えるからです。

今のままで行くと日本はこんなふうになります。

まず介護。親の介護をする時間がない、じゃあ、24時間施設を国がもっともっと作ってくれ、という要求となり国のコストがかさみます。

育児も、お迎えに行く時間がないから、延長保育をもっとしてくれ、となりますが、延長保育は保育園の赤字になり、そのまま自治体の赤字になります。

家庭では夫婦ともに時間もなく、子供のしつけの時間もない、宿題を見る時間もないから、全部学童保育でやってくれ、となります。

そして女性は仕事と育児が両立できない。今7割もの女性が育児をきっかけに仕事をやめています。すると年金の払い手はその分減ってしまい、将来年金がすくないことを理由に生活保護の対象となる人が増えるでしょう。

そして企業は利益が出ない。そうすれば雇用はしたくない、国が雇用しろ、というなら、雇用対策調整金をくれないと、となる。

すべてが行政への過剰な要求となってエスカレートしていく、そして財政がますますひっ迫すれば、皆さんに重い税金となってのしかかっていくわけです。


では長時間労働をやめるとどうなるか。親の介護は定時で帰り、訪問介護・デイサービスと連携して続けることができ、育児もきちっと迎えに行け、キャリアは続けることができ、家計を担っていくことができる。家庭も夕食時に父親が子供の話しに耳を傾けられる。しつけや宿題はもちろん、いじめの話しにも早期にしっかり父親がかかわっていけるでしょう。そして女性は仕事と育児を両立していければ、年金の払い手でいつづけることができます。そして企業は利益がでるため、もっと雇用をふやそう、となります。

つまり定時後の時間に育児、介護、健康維持、これに個人が主体的に動いていくことで、財政をつかわずに社会問題を解決していくということができるんです。

そしてこれは日本だけの問題ではありません。

高齢化率の推移ですが人口の23%が高齢化している高齢化社会です。しかし2030年には韓国が、2040年には中国がこれと全く同じ数字になるんです。

いま、韓国・中国・タイ・シンガポールという国は、人口のボーナス期といって若者が多く高齢者が少ない、つまり社会保障費がすくなくてすみ経済がうまく廻ります。しかしこののち少子高齢化が進み、人件費があがり、成熟期に入ります。そうすると日本がそうであると同じで、時間をかけて価値を生むビジネスモデルでは競争力を失い、時間をかけずに高付加価値を生むというビジネスに転換しないと成熟期の国は生き残れません。

今日本が転換を図れるかがどうかは、アジアの国に次の働き方を示して行けるのかどうかを示していく、というとても大切な役割をになっているのです。

是非身の回りの人に啓発してほしい。たとえば幼い子供がいるのに妻に育児家事を押し付けて職場に残っているパパ社員へ、「あなたの人生の評価をするのは、家族であって会社じゃないんですよ、あなたが定年退職した翌年に、去年は御苦労さまとか、おととしまですごかったね、とか会社は言ってくれません。その代わり定年退職したあと30年間、家族から「あなたは家のことは何にもやらなかったわよね」とずっと言われるんですよね。そんな人生って幸せでしょうか?」

また管理職の方、「おれは残業代をもらっていないんだから会社に負担掛けていないから問題ないんだ」という方はいますが、そんなあなたを見て、あなたの部下はみんな管理職になりたがらなくなった。だって管理職って、残業代がつかなくなって、仕事の責任と量が増えて、家庭が崩壊している職業でしょ、というように思われているからなんですね。あなたが変わらなければ部下のモチベーションはますます下がるでしょう。

そして経営者の方。よく、この景気の悪いときに従業員が早く帰るなんて不安でしょうがない、といいますが、脳科学者が解明しています。人間の脳は朝起きてから13時間しか集中力はもたないんですね。それを過ぎると酒飲み運転ほどの集中力しかないんです。そんな時間帯にミスが多く発生し、アイディアも出ない時間帯に割増の残業代を払うなんて、お人よしの経営者ですよ、といってあげてください。

この山積している社会問題を財政をまったくつかわずに解決できる、「長時間労働をやめる」ということ、是非みなさんももちろん実践し、まわりの方にもひろめていたきたい。

そうすると私生活が増え、さまざまなアイディアがインプットされ、そしてそのアイディアが仕事に影響を与え、仕事でどんどんと成果がでる。ワークもライフもまるごと豊かになるような、ワークライフシナジーの社会を私は作りたいのです。

是非皆さんの力をお借りいただければと思います(拍手!)

http://youtu.be/sd
6OLoQW0hY

2012年8月6日月曜日

損保各社、勘違いアプリ続々

損保を始めとする保険業界、未だ顧客の価値を高めることができない業界であり、しかしながら旧商品により収入があるため自らを変えることができない業界のひとつだろう。

本来はその人の収入/貯蓄を超える出費・リスクにどう応えるか、あるいは収入の減少に貯蓄を含めどう対応すべきなのかを提案し、そしてそのための出費がリスクに見合ったものでなければ顧客は離れていく一方である。

自動車事故が増えているから、事故防止アプリを提供し、事故を減らせるという。

そんなことは絶対にあり得ない。

自動車事故は、自動車であるが故に起こるものであり、自動車会社、そして道路や信号機を建設/設置する自治体での対応なしで実現できるとは思えない。

そんなあり得ない対応を採用する時点で、終っている。

自動車保険は、まず事故を起こすことのない高度システムを積んでいる車両識別をし、保険料を下げ、そのような「事故を起こさない顧客」を逃がさないことだ。そんなことをしている損保会社はない。「事故を起こさない顧客」を集めることこそ、そのための商品設計をすることそこ、利益をあげる王道である。

それを理解できないのは、本気で事故を減らそうなどと思っていない証でもある。

なぜ、このような組織が生まれてしまうのか。それは本質を追求しなくても、競争をしなくても、生き残って行く環境にある。


損保各社、スマホで事故防止 アプリ続々 http://www.nikkei.com/article/DGXNZO44590190V00C12A8NN7000/

65歳までの継続雇用義務化、衆院委で可決

65歳までの継続雇用義務化について衆院委で可決した。


これが意味することは何か。政治家は単に60歳の年金制度が継続できないから65歳まで企業は人を雇うことを義務とした。そしてそれが若年層の人口減少を補うものであると。


しかしながら、競争力のない60〜65歳を抱えるリスクをもつ企業は、さらに日本での雇用を避けるようになり、日本の経済がさらに衰退する要因を作り上げるだろう。


あるべきは、政府収入を増加させるため、税を負担する人口を増やし、税を負担し雇用を生み出す企業や社団法人/財務法人を増やし、効率的な都市となるよう、そして知識を中心とした社会となるよう、インフラ/知識の開発を行うべきなのだ。牽引する事業とともに。


 s.nikkei.com/Mbn0CI

21世紀の生き残り戦略

21世紀に入り10年は経過している。21世紀経済の特徴は、冷戦構造の崩壊による市場のグローバル化と競争を通じた不安定化にある。

かつて古生代デボン紀では板皮類とよばれる海洋生物が海を支配していた。圧倒的な強さにより、現在多くの魚類の祖先を川へ追いやり、海を闊歩していた。

グローバル時代とは、強いものが生き残る時代である。これまで参入障壁とは資本によるものであったが、複雑系理論によるならば、資本によらなくとも、多くのユーザを集め、ある一定の状態にロックインするならば多くの関係者を引き寄せ、それがグローバルスタンダードとなり、そのスタンダードたるものが参入障壁となる。

いかに多くの人々の共感を得て、小さい領域、あるいは大きな領域においてロックインする。それが現代の事業の基本である。

一方で、いまだに資本による大量生産・規模時代の発想から抜け出せない経営者が存在する。売上げ至上主義をかかげ平然としている。このような勉強不足の人達が日本のマスを形成する以上、日本の衰退は、何十年前から予想されていた今そこにある未来である少子高齢化とともに、決定的となっている。

そこに置かれた個人においても、グローバルな人の数の上で、その存在は貴重さを失う。存在の貴重性を証明できないものは、他と置き換えられて行く。経営もまたその置き換えに躊躇するならば板皮類に食われて、無くなって行く運命となる。

では弱いものは消えてなくなる運命にあるのか?

答えはNOである。

現在海で多くを占める魚類の祖先は、板皮類に海から陸に追われ、川や沼で生きることになる。川や沼で水が少なくなると水を使った呼吸が困難となる。そこで獲得された器官が「肺」である。やがて大きな気候変動により海から酸素が欠乏することになり、板皮類は絶滅することになる。そしてそのような環境で生き残ったのが、現在の魚類の祖先である。やがて強大な敵がいなくなり、川から海へと戻って行く。かつて生き残りを助けた器官である「肺」はやがて「うきぶくろ」として残ることになる。

生物進化の歴史は、たとえ弱いものであっても生き残るために閉じた環境で過ごすことができ、そこで得た特殊な能力は、環境変化により古い組織が死んでいくなかで生き残ることを助け、やがて大海原に出る機会とともに、数を獲得することができることを示している。

21世紀に人類が得た英知「複雑系」に照らすならば、組織そして個人のあり方は規模の発展ではない、「環境適合」にあること、そしてその環境は、組織自らが選択可能であることを示している。

グローバル環境のなかで閉じこもるものか、日本の産業が衰退するなかで大海原に出ることができるのか、それは大きな選択であるが、現在のグローバルな競争環境において、いかに環境を選択し、そして組織・個人が如何に生き残るのか、そのヒントを集めて行きたい。