2012年8月6日月曜日

21世紀の生き残り戦略

21世紀に入り10年は経過している。21世紀経済の特徴は、冷戦構造の崩壊による市場のグローバル化と競争を通じた不安定化にある。

かつて古生代デボン紀では板皮類とよばれる海洋生物が海を支配していた。圧倒的な強さにより、現在多くの魚類の祖先を川へ追いやり、海を闊歩していた。

グローバル時代とは、強いものが生き残る時代である。これまで参入障壁とは資本によるものであったが、複雑系理論によるならば、資本によらなくとも、多くのユーザを集め、ある一定の状態にロックインするならば多くの関係者を引き寄せ、それがグローバルスタンダードとなり、そのスタンダードたるものが参入障壁となる。

いかに多くの人々の共感を得て、小さい領域、あるいは大きな領域においてロックインする。それが現代の事業の基本である。

一方で、いまだに資本による大量生産・規模時代の発想から抜け出せない経営者が存在する。売上げ至上主義をかかげ平然としている。このような勉強不足の人達が日本のマスを形成する以上、日本の衰退は、何十年前から予想されていた今そこにある未来である少子高齢化とともに、決定的となっている。

そこに置かれた個人においても、グローバルな人の数の上で、その存在は貴重さを失う。存在の貴重性を証明できないものは、他と置き換えられて行く。経営もまたその置き換えに躊躇するならば板皮類に食われて、無くなって行く運命となる。

では弱いものは消えてなくなる運命にあるのか?

答えはNOである。

現在海で多くを占める魚類の祖先は、板皮類に海から陸に追われ、川や沼で生きることになる。川や沼で水が少なくなると水を使った呼吸が困難となる。そこで獲得された器官が「肺」である。やがて大きな気候変動により海から酸素が欠乏することになり、板皮類は絶滅することになる。そしてそのような環境で生き残ったのが、現在の魚類の祖先である。やがて強大な敵がいなくなり、川から海へと戻って行く。かつて生き残りを助けた器官である「肺」はやがて「うきぶくろ」として残ることになる。

生物進化の歴史は、たとえ弱いものであっても生き残るために閉じた環境で過ごすことができ、そこで得た特殊な能力は、環境変化により古い組織が死んでいくなかで生き残ることを助け、やがて大海原に出る機会とともに、数を獲得することができることを示している。

21世紀に人類が得た英知「複雑系」に照らすならば、組織そして個人のあり方は規模の発展ではない、「環境適合」にあること、そしてその環境は、組織自らが選択可能であることを示している。

グローバル環境のなかで閉じこもるものか、日本の産業が衰退するなかで大海原に出ることができるのか、それは大きな選択であるが、現在のグローバルな競争環境において、いかに環境を選択し、そして組織・個人が如何に生き残るのか、そのヒントを集めて行きたい。

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