2012年8月8日水曜日

長時間労働をやめる ~ Tedより ~

- Tedより書き起こし -
みなさん、日本社会は今極めて少子化が進んでいるのはご存じのことかと思います。

でも、何故日本は少子化なのでしょう。

なぜ、日本の女性は子供を生みたくないのでしょうか。私は身をもって体験していなるので知っています。

私は長男を生んだ6年前、くるしくて苦しくてしょうがありませんでした。両親は遠方でくらし、当初夫の帰宅時間は毎夜2時でした。

子供はベッドに置いたらなく、置いたらなく、やっと泣きやんだら、「バタン」と音を立てて夫が帰ってきます。

「もう2度と帰ってこないでいいんだよ」当時そんな話しをしていました。


この一人目の出産体験で、もう2人目は絶対にほしくないと強く思いました。この夫の長時間労働こそが少子化の真の原因だと思っています。

でも、今の夫は家事も手伝うようになり、気持ちはがらっと変わり今お腹に2人目がおります。


今日本は、少子化だけでなく、うつ病の問題、ダイバーシティ、大介護の問題、財政難と、問題山積の国です。

しかし、これらの問題に対して実は財政を全く使わずに解決する方法があります。

それが、長時間労働を止める、ということです。

今まで900社の働き方のコンサルをしてきましたが、30%の残業が減っても、売上があがる企業すらあります。落ちません。

それは、今の日本の企業が、時間をかければかけるほど成果が落ちて行くという、負のスパイラルにすでにはまり込んでいるからなのです。

60時間以上残業する人、日本は世界で最も多いです。

しかし、一人当たりが生み出している付加価値額、なんと先進国で最下位。

これは、私生活が少なければ少ない程、体験によるインプットが減り、アイディアもないのに、それを持ち寄って会議をする、それをひっくり返しても何も出てこない。だから会議は長引き、貧困なアイディアが出て売れない。帰れない。ぐるぐると繰り返しているのです。

さらに介護の問題が襲い掛かります。

あと5年で日本の団塊の世代は一斉に70代に入ります。

そうして介護を受ける人数が増えれば、介護をする世代、段階ジュニア世代は、介護と仕事の両立をする、時間制約のある社員が急増します。

ある6万8千人いる自動車メーカでは、5年度に抱える親の介護をする人数が1万4千人と見込んでいます。社員の5分の1です。

これだけのことを解決していきたい、じゃ長時間労働やめたほうがいいじゃないか、でも業績が落ちてしまうじゃないか、競争力を失うんじゃyないか、という不安があります。

でも、むしろ逆なのです。

長時間労働を続けたA社と長時間労働をやめたB社

A社の場合、コストをカットしようとすると人を削ってしまいます。固定費を削るのです。しかしその分の仕事が残された人の上に乗っかり、以前より長時間労働になります。そうすると削ったコストより、増えた残業代の方が多くなります。そして優秀な人は逃げて行ってしまう、うつ病は増える。週龍力もなくなり、コストが逆に増えてしまいます。さらにここに介護がふってくると、人がやめてしまいます。すでにカットしていますから、たがいにフォローする人材がいません。で、人が足りないので採用しようとしても、こんな企業に入る人は出てこず、優秀な人は入ってきません。そして事業継続がどんどんとあやしくなってくるのです。

B社の場合、コストを下げるのに残業を減らします。その分、若者を雇用し、時間制約のある女性などを積極的に採用します。私の会社は6年間ずっと残業禁止でやってきましたが、トップコンサルタントは短時間勤務の女性なんです。

時間と成果は関係ないんです。時間に制約のある人は短時間に集中力高く働いてくれます。また集中力が高いだけでなく、男女・年齢など多様性の増えた人材のいる会社では、多様なアイディアがお互いに切磋琢磨して、非常に高い付加価値を生んでいきます。さらに介護で人が抜けてもフォローする人材もいますし、育児や介護の問題を抱えてもやめないで済むわけです。

こういう企業にはますます優秀な人が集まって、業績はアップし、サスティナブルな企業になっていく、ということが言えるわけです。

「でも、育児も介護もしていないという」方、その方にも関係があります。

この長時間労働を続けるか否かは、日本の財政にも大きな影響を与えるからです。

今のままで行くと日本はこんなふうになります。

まず介護。親の介護をする時間がない、じゃあ、24時間施設を国がもっともっと作ってくれ、という要求となり国のコストがかさみます。

育児も、お迎えに行く時間がないから、延長保育をもっとしてくれ、となりますが、延長保育は保育園の赤字になり、そのまま自治体の赤字になります。

家庭では夫婦ともに時間もなく、子供のしつけの時間もない、宿題を見る時間もないから、全部学童保育でやってくれ、となります。

そして女性は仕事と育児が両立できない。今7割もの女性が育児をきっかけに仕事をやめています。すると年金の払い手はその分減ってしまい、将来年金がすくないことを理由に生活保護の対象となる人が増えるでしょう。

そして企業は利益が出ない。そうすれば雇用はしたくない、国が雇用しろ、というなら、雇用対策調整金をくれないと、となる。

すべてが行政への過剰な要求となってエスカレートしていく、そして財政がますますひっ迫すれば、皆さんに重い税金となってのしかかっていくわけです。


では長時間労働をやめるとどうなるか。親の介護は定時で帰り、訪問介護・デイサービスと連携して続けることができ、育児もきちっと迎えに行け、キャリアは続けることができ、家計を担っていくことができる。家庭も夕食時に父親が子供の話しに耳を傾けられる。しつけや宿題はもちろん、いじめの話しにも早期にしっかり父親がかかわっていけるでしょう。そして女性は仕事と育児を両立していければ、年金の払い手でいつづけることができます。そして企業は利益がでるため、もっと雇用をふやそう、となります。

つまり定時後の時間に育児、介護、健康維持、これに個人が主体的に動いていくことで、財政をつかわずに社会問題を解決していくということができるんです。

そしてこれは日本だけの問題ではありません。

高齢化率の推移ですが人口の23%が高齢化している高齢化社会です。しかし2030年には韓国が、2040年には中国がこれと全く同じ数字になるんです。

いま、韓国・中国・タイ・シンガポールという国は、人口のボーナス期といって若者が多く高齢者が少ない、つまり社会保障費がすくなくてすみ経済がうまく廻ります。しかしこののち少子高齢化が進み、人件費があがり、成熟期に入ります。そうすると日本がそうであると同じで、時間をかけて価値を生むビジネスモデルでは競争力を失い、時間をかけずに高付加価値を生むというビジネスに転換しないと成熟期の国は生き残れません。

今日本が転換を図れるかがどうかは、アジアの国に次の働き方を示して行けるのかどうかを示していく、というとても大切な役割をになっているのです。

是非身の回りの人に啓発してほしい。たとえば幼い子供がいるのに妻に育児家事を押し付けて職場に残っているパパ社員へ、「あなたの人生の評価をするのは、家族であって会社じゃないんですよ、あなたが定年退職した翌年に、去年は御苦労さまとか、おととしまですごかったね、とか会社は言ってくれません。その代わり定年退職したあと30年間、家族から「あなたは家のことは何にもやらなかったわよね」とずっと言われるんですよね。そんな人生って幸せでしょうか?」

また管理職の方、「おれは残業代をもらっていないんだから会社に負担掛けていないから問題ないんだ」という方はいますが、そんなあなたを見て、あなたの部下はみんな管理職になりたがらなくなった。だって管理職って、残業代がつかなくなって、仕事の責任と量が増えて、家庭が崩壊している職業でしょ、というように思われているからなんですね。あなたが変わらなければ部下のモチベーションはますます下がるでしょう。

そして経営者の方。よく、この景気の悪いときに従業員が早く帰るなんて不安でしょうがない、といいますが、脳科学者が解明しています。人間の脳は朝起きてから13時間しか集中力はもたないんですね。それを過ぎると酒飲み運転ほどの集中力しかないんです。そんな時間帯にミスが多く発生し、アイディアも出ない時間帯に割増の残業代を払うなんて、お人よしの経営者ですよ、といってあげてください。

この山積している社会問題を財政をまったくつかわずに解決できる、「長時間労働をやめる」ということ、是非みなさんももちろん実践し、まわりの方にもひろめていたきたい。

そうすると私生活が増え、さまざまなアイディアがインプットされ、そしてそのアイディアが仕事に影響を与え、仕事でどんどんと成果がでる。ワークもライフもまるごと豊かになるような、ワークライフシナジーの社会を私は作りたいのです。

是非皆さんの力をお借りいただければと思います(拍手!)

http://youtu.be/sd
6OLoQW0hY

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